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ケチるとろくなことが無い、を体現した例

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#お金 #事故

 お金を節約することはよい事と捉えられるが、それを通り越し何かの害を生み出した場合、それを「ケチ」と表現し始めるのではないだろうか。
 そして、そのケチにまでいたった節約の結果を、とんでもない形で私は目の当たりにすることがあった。

 私が若い頃働いていた船は、RO-RO型貨物船といい、簡単に言えば『お客さんを乗せないフェリー』である。中は二階建ての駐車レーンがあり、まるで渋滞している6車線道路のごとく積荷のトラックや自動車が並ぶのだ。
 陸からの入り口は二階に設けられ、一階へは巨大なエレベータで降下していく。このエレベータは最大重量42.5トンまで載せることが出来、全長15mのトレーラーまで載せることができる非常に大きいものであった。

 このエレベータの重要部品である吊り下げワイヤーは2年に1回交換していたのだが、会社の上層部はその金が惜しくなったのか、我々乗組員に『もう一年引っ張ってくれ』と言ってきた。ワイヤーと一口に言っても、太さが2リットルペットボトルより一回り太く、長さは200m近くになるシロモノで、確かに一年ケチれば経費の削減にはなるだろうとは思われた。しかし、私の先輩方は全員が大反対し、特に整備を担当していた先輩は『そんなことしたらいつか絶対死人が出るぞ!』と上層部の人間に直接怒鳴っていた。

 そして、その怒りは現実のものとなった。

 上層部がケチる宣言をしてから3ヶ月ほどがたったある日。
 その日は船が港に入港した日で、のんびりと岸壁にトラックや貨物を追いやっていた。
 一階に格納してたトレーラーを二階に上げるためにエレベータが一階に降り、トレーラーが載って二階に上がろうとしたそのとき。

 ぶちっ

 ワイヤーがブチ切れた。

 切れたワイヤーは一階の貨物層の中に叩き付けるように倒れてきた。その切り口は運よく、一階で作業していた荷役作業員さんの背中を掠めただけで済んだ。あと一秒でも移動が遅れていたら、彼は亡き人となっていただろう。
 トレーラーも、一階から二階に上がろうとして直ぐに切れた為、10cmかそこらジャンプした格好で済んだが、ある程度上昇していたら、中の人は無事では済まなかっただろう。

 失ったもの
 ワイヤー修理の出張費用
 修理により止まった荷役
 荷役作業の親方が入れてた歯医者の予約

 経費削減とばかりに安全に対する配慮をケチったが為に、とんでもないことになる事件がこのごろ多いように感じる。
 安全の配慮をケチれば必ずや人命にすら関わる事故となることを、肝に銘じておきたいものである。

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最終更新日:2016-04-05 14:06

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